呉昌碩の悩みを抱える人は、ぜひ一読
端的なのはアパレル業界。
九八年度の売上高上位二十社のうち十六社は減収となった。
消費者のニーズ変化への対応が遅れた総合繊維大手の販売不振が目立つ。
反面、躍進が目立つのはFフォックス(東京・渋谷、U社長)、B(東京・港、K社長)などのSPA(製造小売り)型企業。
店頭で吸い上げた消費者ニーズを直ちに商品企画に活用できる上、市場動向の生産・出荷への反映も、小売り部門を持たないアパレルより早いのが強みだ。
小売りの機能補完ヘ小規模小売店の減少により、卸の金融機能の持つ意味は相対的に低下、メーカーも販売網拡大より採算性を重視する中で、従来の既得権に頼っていては取引の維持、拡大は困難だ。
機能を強化し、特に小売りチェーンにとって不可欠な存在になることが、卸の生き残りのカギとなっている。
とりわけ取り組みが目立つのが一括物流。
パルタックやC物産などが続々と高機能、低コストの物流体制を構築、大手スーパーから地域単位で日用雑貨の物流一括受託を競う。
食品ではKが九九年三月、食品スーパーのいちやまマート(甲府市、M社長)の全店舗向けに、H食は七月、Hキミサワ向けに、それぞれ加工食品と青果などの一括配送を始めた。
他方、中堅以下の食品スーパーなどに照準を定め、全商品の配送を狙う戦略。
低コスト化を武器に物流業務を肩代わりすれば、商流の獲得も見込める。
将来は店舗の品ぞろえにも関与、チェーン本部機能の一部を引き受ければ、まさに小売りにとってなくてはならない存在となる。
膨大な商品・販売動向データの蓄積を生かし、スーパーなどの店舗の売り場レイアウトなどを請け負う動きも、食品却などで活発化している。
やはり間接部門の業務肩代わりを通じ、小売りに食い込む戦略だ。
小売りのリストラクチャリング(事業の再構築)を視野に、機能の補完を狙う動きが、今後は一段と増えそうだ。
ディスカウントストア・専門店業界「専門店の時代到来」二O世紀末の国内流通業界は、後年、本格的な「専門店の時代」幕開けの時期と呼ばれるだろう。
そして専門店業界の成長率が百貨店・スーパーを大きく引き離した九八年度は、まさに新時代を象徴する一年として位置づけられそうだ。
「専門店の時代」到来の要因は、主に二つ挙げられる。
まず一つは、逆説的ではあるが、消費不況の深刻化だ。
可処分所得の収縮で、消費者の聞には選別消費の傾向が強まった。
特定分野の商品を幅広くそろえた専門店は、自分の欲しい商品をじっくり選びたい消費者の欲求をズバリかなえる。
さらに「値ごろ感」が加われば鬼に金棒で、既存の大型店やメーカー系列店から容赦なく顧客を奪う。
家電やドラッグストア、カジュアル衣料などは、まさにこうした特長を武器に業界全体が成長している。
家電量販屈の大手各社は、空前のブームを迎えているパソコンの強化を掲げ、店舗の大型化に走っている。
なかでもK、Y電機の北関東勢は年間十店以上の出店に加え、九州や関西への進出を本格化、業容拡大にまい進している。
ドラッグストアは最大手のMが年間七十店を出店。
売上高千億円を業界で初めて達成した。
また医薬分業を受けて、Tがクラフトに資本参加したように、大手チェーンが調剤薬局店を取り込む動きも出始めた。
ファッションのカジュアル化の流れを、つけて、ファーストリテイリングやJメイトなどのカジュアル衣料専門店は二ケタ増収を実現した。
もう一つの要因は、SPA(製造小売り)システムなどを武器に、特定の消費者層を強力に引きつける企業の成長だ。
婦人服のFフォックスや靴の卑弥呼は、顧客対象を若い女性に絞り込み、機動的な商品開発と調達でネ況下でも順調に売り上げを伸ばした。
紳士服のUアローズは、SPAではない「セレクトショップ」だが、先端的なファッション感覚を持つ消費者の支持を背景に、九八年度は四八%の増収を達成した。
不況下ならではの快進撃を見せたのが一OO円ショップだ。
最大手の大創産業は、年間増収率が六八%に及んだ。
福岡県のショッピングセンター「トリアス久山」の準キーテナントになるなど、全国のデベロッパーなどからの出店要請は跡を絶たない。
業種・企業間格差は拡大業態全般で成長軌道を描いてはいても、消費不況は業種間格差、企業間格差という形で色濃く影を落とした。
一握りの勝ち組企業が快走する一方、競合から脱落する企業も相次いだ。
最も象徴的なのが、九九年四月のアメリカ屋靴店の破産だ。
購買点数の減少と単価の下落が進む靴専門店は、卑弥呼など一部企業を除き、都市型、郊外型を問わず業界全体が苦戦している。
アメリカ屋は幹部の経営能力の問題点に加え、資金調達力の低下が追い打ちをかけ、市場からの撤退を余儀なくされた。
スーパーなども巻き込んだ競合が激化している酒類ディスカウントストア(DS)では、サリの経営不振が表面化し、H信販の支援をあおいでようやく再建のメドをたてた。
パソコン専門店でも不良在庫を抱えた亜土電子工業が債務超過寸前まで業績が悪化し、やはりCSKの支援拡大でことなきを得ている。
ほかにも、売れ筋商品不足に悩むスポーツ用品、高額品の不振に悩む宝飾品など、全般的に地盤沈下を起こしている分野は少なくない。
それぞれの業界では、時代のニーズにあった品ぞろえで健闘する企業と、既存の大手企業との「新旧交代」が進みつつある。
デフレ経済の浸透は、低価格販売が看板の総合DSにもマイナス効果を与えた。
同業種、異業穫を問わず商品単価が下落するなかで、安値のアピールが困難になったためだ。
業界全体の売上高は伸びているものの、優勝劣敗はより鮮明になっている。
大手のダイクマは三期連続の減収で、既存店売上高も一二%落ち込んだ。
一方、深夜営業で話題を呼んだDや、スーパーの数倍の広さの食品売り場などを目玉に集客するみったなどは好調。
「低価格」以外のプラスアルファを打ち出すか、徹底的なコスト削減で、もう一段の安さを実現しなければ、容易には競争に勝てない。
外資の攻勢にも変化巨大な資本力や独自の商品提案力を武器にする外資系専門店の攻勢は依然、止まらない。
米がん具専門店Tの子会社、日本Tは年間十二店の出店もあって、外資系専門店としては初めて売上高千億円を突破した。
米カジュアル衣料のギャップも多くの若者から支持を集める。
九九年四月には米ホールセールクラブのCが、トリアス久山に一号店を開設。
メーカーとの直取引を掲げ、国内流通業界に波紋を広げた。
ただ、ここにきて戦略の見直しを迫られた企業も相次いでいる。
米オフィス・デボはDとの提携を解消し、通販主体のビジネスに方針転換。
米ピアワンインポーツと提携する暁印刷は、新規出店の凍結と不採算店の営業譲渡を打ち出した。
一部の好調組を除き、外資系の多くは、まだまだ日本市場では試行錯誤の段階にある。
もう一つの特徴的な動きは、大型ショッピングセンター(SC)やアウトレットモールの出店だ。
「横浜ベイサイドマリーナ」は今や同地域の名所となった。
SCの開設・計画表明も相次ぎ、二一世紀の国内流通地図の変容を予感させた。
そうした中で、米商業デベロッパー大手のアメリカン・モールズ・インターナショナルが、日本国内での商業施設開発からの一歩後退を表明したことは、流通業界に様々な憶測を呼んだ。
不況に強いと言われ、九七年春の消費税率引き上げ後も比較的堅調に推移してきた外食産業が、転機を迎えている。
九八年の市場規模が初めてマイナスに転じ、業界団体のNサービス協会が調べる会員企業の月次売上高(既存店ベース)は、九七年十二月から九九年夏に至るまで前年割れを続けている。
こうした中で、フアストフード、ファミリーレストランではトップ企業のシェア拡大が進み、業界再編のうねりも近づいている。
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